「大半ってどれくらい?」「大半のことだよ」

この記事はだいぶ前に書かれたものなので情報が古いかもしれません
ピタゴラ的な?

この記事を三行にまとめると

完全に言葉の輪廻転生だよ、これ
いかにも日本語って感じがします
無限ループって怖いよね
大半って聞くと、どれくらいをイメージしますか?

僕の感覚だと、かなりの割合をイメージします。そうですね……8割くらいかな? だから大半の人が賛同しているって言ったら、ほぼ全員が賛同していると受け取ります。

でも大半って、具体的な数字を表すわけではないから、人によって感覚が違う可能性がありますよね。「半」って言葉が入ってるから、半分以上(5〜6割くらい)だと思う人も、いるかもしれない。もしかしたら大半の人が大半のことをそう思っているかもしれない。

こういう、具体的にどれくらいを表すか分からない表現って、結構ありますよね。大半に似てそうなものだと「大部分」「大多数」「殆ど(ほとんど)」「概ね(おおむね)」「大方(おおかた)」「粗方(あらかた)」「凡そ(おおよそ)」辺りでしょうか。

どれもそこそこの割合を指す言葉のように思いますが、実際のところ、これらはどれくらいの割合を表すのでしょうか。気になるので、わたくし、ちょいと調べてみました。



ざっと調べた限りでは、各単語にはこんな説明がついてます。

大半・・・全体の半分以上。過半。大多数。
大部分・・・全体のほとんど。大半。おおかた。
大多数・・・あるまとまりの中の、ほとんど全部。
殆ど・・・全部に近い。大部分。おおかた。おおよそ。あらかた。
概ね・・・だいたい。おおよそ。
大方・・・大部分。大半。だいたい。あらかた。
粗方・・・ほぼ全部。大部分。おおかた。
凡そ・・・だいたい。およそ。



……何でしょうね。この、互いに責任をなすりつけようとしているみたいな感じは。クライアントはデザインのUIにダメ出しをし、デザイナーはシステムが悪いと文句を言い、システム屋はディレクションに問題があると不満を漏らし、ディレクターはクライアントが無理な発注をしていると責め立てる。そんな感じ。

大半を調べれば大多数と書いてあるし、大多数を調べればほとんど全部と書いてあるし、ほとんどを調べれば大部分と書いてあるし……たらい回しですやん。完全に言葉の輪廻転生だよ、これ。

数学的に考えると、大多数が「ほとんど全部」で、ほとんどが「全部に近い」だから、大多数イコール「全部に近い全部」になっちゃうぞ。全部に近い全部って何だよ。限りなく透明に近い透明、みたいなこと? それはもう、紛れもなく透明だよ。

どうやら、無理に使い分ける必要はなく、どれを使ってもだいたい同じ意味になるようですね。

ざっと調べただけですが、どの単語も、具体的な割合を示してはいないですね。はっきりと数字を示さず、どうとでも受け取れるようにぼかす辺りは、いかにも日本語って感じがします。日本人って、あいまいなの好きだからな。

ただ、殆どや粗方の説明に「全部に近い」「ほぼ全部」と書いてあるので、8〜9割くらいを示していると考えて良い……のかな?

ちなみに、過去には、大半を全体の2/3と表していたという説もあるようです。ついでに、あまり耳にする機会がありませんが、大半に対して小半という言葉も、存在はするみたいです。小半は全体の1/3に相当するとかしないとか。情報の出所がいまいちはっきりしないので、どこまで本当かは分かりませんが。

とりあえず、今後誰かに「ねえねえ、大半ってどれくらい?」と質問されたら、「大多数のことだよ」と答えれば良いと思います。「じゃあ大多数ってどれくらい?」と質問されたら、「大部分だよ」と答えれば良いと思います。そして「大部分ってどれくらいさ?」と質問されたら、「大半だよ」と答えれば良いと思います。そこでさらに「結局、大半ってどれくらいなのよ?」という質問をしてくる猛者がいるなら、「無限ループって怖いよね」と答えておきましょう。
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