春。
 僕らは出会った。
 彼女に出会って、僕の世界は一変した。
 初めて握った彼女の手は、新緑の風よりも優しくて温かかった。
 空を舞う桜吹雪が、僕たちを祝福してくれているようだった。
 この温もりをずっと感じていられたら良いなと、そう思った。

 夏。
 全てが楽しかった。
 海で一緒に泳いだことも、花火大会を一緒に見に行ったことも。
 彼女が隣にいるだけで、陽光を反射する海面も夜空に打ち上げられる大輪の花火も、その輝きを増したように見えた。
 彼女の笑顔も輝いていた。
 この笑顔をずっと絶やさないようにしようと、僕は心にそう誓った。

 秋。
 夏とは対照的に、静かに時間が流れていった。
 部屋の中で、何をするでもなくまったりと二人だけの時間を過ごしたり、銀杏並木をのんびりと散策したり。
 ただそれだけでも、僕は十分幸せだった。
 静かに微笑む彼女は、紅葉よりも綺麗だった。
 時の流れと共に、人は少しずつ変化していく。良くも悪くも、時間は立ち止まることを許してくれない。
 でも、彼女を大切に想うこの気持ちだけは、永遠に変わらない自信があった。

 そして――冬。
 世界は白に染まった。
 とても冷たく、孤独な世界。
 手を伸ばしても、虚しく空を切るだけ。
 握った手の中で、空気が拡散していく。
 僕は手をコートのポケットにしまった。
 いつも変わらずに僕の手を優しく包んでくれていたあの温もりは、もうどこにもない。