「どう見たって俺の方が背が高いじゃねーかよ」
「はあ? どこ見て言ってんだよ。俺の方が高いじゃんか。ほら」
「別にどっちでも良いじゃん」
「ああ? うっせーよ。一番チビは黙ってろよな」
「あんだとこの野郎!」
 女三人寄れば姦しいとはよく言ったものだが、実際のところ、何だって三人寄れば姦しくなるものだ。
「俺のどこがチビなんだよ。てめーらと大して変わらねーだろが」
「んなわけねーだろ。もっとよく見ろよ」
「だいたい、お前ら二人は帽子かぶってるじゃねーか。それを計算に入れて俺のことを一番チビとか、ふざけんなよ?」
「何言ってんだよ。帽子を計算に入れるのは当たり前じゃねーか」
「そうだそうだ。そもそも今時帽子もかぶってねーなんて、モグリも良いとこだぜ。何だよそのツルツル。だっせー」
「あんだとこの野郎!」
「お前、言うことがなくなるといつもその一言言うよな」
「あんだとこの野郎!」
 彼らにとってこのやり取りは日常茶飯事であり、顔を合わせれば毎回似たような啀み合いが始まるので、もはや挨拶と変わらないレベルになっている。
 しかし、だからと言って彼らの仲が悪いのかと言われると、決してそんなことはない。反対に仲が良いのかと言われても、やはりそんなことはないとしか言えないのだが。
 そもそも彼らには、仲が良いとか悪いとか、そういう概念がない。ずっと一緒にいるのも、仲の良さが関係しているわけではない。
 彼らはただ、同じところで生まれ、同じところで育ち、今もなお同じところにいるという、ただそれだけの関係だ。
 何をするでもなく、日がな一日、啀み合いながら公園でひなたぼっこをしている。
 それが彼らの日課であり、持って生まれた運命でもあるのだ。

「あ、ほら。そこ。ドングリが三つあるわよ」
「あ、ほんとうだー。三つならんでるー。かわいいー」
「どれもほぼ同じ大きさね」
「まんなかのドングリだけ、下になにもついてないね」
「拾って帰る?」
「うん! つくえの上にかざるんだー」
 こうして今日も彼らは、元気よく背比べを続けている。