ふと窓の外に目を向けたら、飛行機雲が見えた。
 飛行機は、どうしてあんなに大きくて重いのに、空を飛べるのだろう。
 僕にはよく分からない。
 僕は、飛行機よりもずっとずっと軽い。でも空中を長い時間浮くことはできない。精いっぱいジャンプしたって、一秒も持たない。水の中でなら長いこと浮いていられるのに。
 飛行機は、自分もあんなに重いのに、そこにさらに何百人という人を乗せた上で、平然と大空を飛び回る。
 僕だって、大空を自由に飛び回りたい。飛行機がうらやましい。
 どうして飛行機は飛べるのだろう。
 何百人もの人を乗せているからだろうか。
 飛行機に乗る人はみんな、それがどんなに遠い場所でも、地球の反対側でも、そこに行きたいと強く思っているから、飛行機に乗るんだと思う。そして無事に目的地に着くことを強く願っているはず。その願いを背負うことが、飛行機の飛ぶ原動力になっているのかもしれない。
 そうだ。きっとそうに違いない。
 この前、理科の授業中に先生が、タンポポの綿毛には種子がたくさんついている、という話をしていた。
 綿毛も、いっぱい種子を乗せているからきっと飛べるんだ。たくさん芽を出したい、その願いを乗せているから、タンポポの花たちの少しでも遠くへ種子を届けたいという願いを背負っているから、綿毛は空を飛べるんだ。
 強い願いが、空を飛ぶ原動力になる。
 今の僕は、強い願いを背負っていない。だから飛べないんだろう。
 空を飛びたいと強く願ってはいるけど、きっとそれだけじゃ足りないんだ。
 飛行機だって、何百人もの願いを背負っているから、あんなに大きくても飛べるんだ。僕だってそれなりに大きな願いを手に入れなきゃ、飛べるわけがない。
「……よし!」
 探しに行こう。
 そして背中に乗せるんだ。
 空を飛べるだけの、強くて大きな願いを。