今はただ、前進あるのみ。
 前だけを見て、ひたすら進む。
 後退の二文字は存在しない。
 それが、僕に与えられた使命だからだ。
 僕たちは、こっちの大将がやられてしまう前に、敵の大将を討ち取る、その為だけに、命令を忠実に守って動く兵士だ。
 僕のように最前線にいる兵は、まず敵陣に穴を開けなければならない。
 後続が突入できるようにする為に。
 当然、犠牲になることも、任務の一つに含まれる。
 僕たちは、敵将を討つことだけが任務であり、全員が無事に生きて帰還することなど、任務に含まれてはいない。
 時には仲間の為に犠牲になり、時には仲間の死を踏み台にして、とにかく前に進む。
 戦略を有利に進める為に、誰もが犠牲になることを最初から覚悟している。
 覚悟がなければ、敵将は討ち取れない。
 こうしている今だって、既に何人かの仲間は犠牲になっている。
 それでも僕は、前に進むことを止めない。
 大事なのは、仲間の死を悲しむことじゃない。
 仲間の死を無駄にしない為に、どんなことがあっても自分の役目を果たすことだ。

 いよいよ敵陣が見えてきた。
 臆することなく、前に進んできた結果だ。
 まずは、敵陣に突入すること。
 それが、僕の使命。
 敵陣に突入したら、今度は相手を攪乱することが必要になる。
 前進だけじゃ、敵は攪乱できない。
 前に後ろに、右に左に。
 多彩に、そして機敏に。
 敵を翻弄して、攪乱する。
 そうすることで、守りを崩すこともできる。
 守りさえ崩してしまえば、あとは仲間が何とかしてくれる。
 あるいは、僕自身で敵将を――。
 よし、敵陣に突入だ!

「先手、7三、歩成り」