服の思考をトレースしてみたら

この記事はだいぶ前に書かれたものなので情報が古いかもしれません
服……と言ったら、まあパッと頭に浮かぶのは、着るものですよね。衣服の服。

でも服って、服役(ふくえき)とか、服従とか、喪に服すとか、何と言うか……行為を表すような場合に使われることもあるじゃないですか。

で、ちょっと調べてみたんですが、「服」という字には、従うとか、自分の意思ではなく行動するみたいな意味があるらしいんですね。この場合の自分の意思ではなく行動するっていうのは、ゾンビとか操り人形みたいにってことじゃなくて、命令されて行動する的なことね。いや、まあ、ゾンビとかもある意味命令されて動くんだけどさ。「なっ、なに? 俺の右手が、俺の意思とは無関係に動き出しただと……? くそっ、静まれ……俺の右手よ」みたいなことじゃないって意味。

服従なんて、まさにそんな感じの意味ですよね。絶対的な力の前に、泣く泣く従っちゃうみたいな。



そう考えるとですよ?

身に着けるものを服と呼ぶようになったのは、人間の肌に付き従っている存在っていう意味でつけられたのかもしれない。

基本、絶対服従を誓った人とかって、ずっとその人のそばにくっついていると思うんですけど、衣服もそんな感じで、ずっとその人にくっついているものって感じで。



しかし人間もそうであるように、誰も彼もが従順とはかぎらない。中には当然不満を覚える衣服も出て来るわけで、例えば普段僕が身にはいてるジーンズなんかも「ちくしょー。こんなしょっぱい人間じゃなくて、俺も福山雅治とかキムタクに着てもらいてーよ。でもしょせん1980円の俺じゃあなぁ……あんな大スターに従える日は来ないよな」とか思っているかもしれない。汗でびしょびしょになってしまったTシャツも「汗臭っ! 早く洗濯してくれよー。それかどうせなら女の子の汗を染み込ませろよー。吉木りさちゃんの汗とかさー」みたいな不満を漏らしているかもしれない。

高校生くらいの女の子がはいてる下着とかも「きゃー、私を加齢臭全開のパンツと一緒に洗濯かごに入れないでよ!」とか嘆いているかもしれない。下着泥棒に盗まれてしまったパンツも「あんたなんかに従わないわよ! 早く元のご主人様のところに返しなさいよ!」とか怒っているかもしれない。

ウエストがごきげんなことになってしまってボタンが止められなくなってしまったスカートも「ムリムリムリムリ! ムリだって! もうあんたには従えんわ!」とツッコミを入れているかもしれない。

服屋さんのショーウインドウでマネキンに着せられている服も「あーあ、早く誰か従えてくれないかなぁ……」ってつぶやきながら道行く人々を眺めているかもしれない。






日頃からこういうことを考えて服を着るようにすれば、もう少し、服に愛着を持てるようになるのかもしれない。

洗濯した後、なぜか片方だけなくなってしまう靴下とかも、もっと頑張って探そうって気になるのかもしれない。
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