エアコン「やはりコタツやストーブには勝てない……」

この記事はだいぶ前に書かれたものなので情報が古いかもしれません
四天王の残り一枠は誰になるかな?

この記事を三行にまとめると

しょせんエアコンなんてシティ派なのだ
嘘だろ!? 全然無理そうじゃねーじゃん!
エアコン先輩ディスってんじゃねーよ
この際だから、はっきり言わせていただこう!

エアコンは確かに優秀な家電製品だ。文明の利器だ。夏は涼しく冬は温かく、いつでも我々の生活を快適に支えてくれる逸材だ。さすがは高度経済成長期に、三種の神器の一つと言われただけのことはある。

しかし残念ながら我々のような、もはや亜寒帯地域と言っても過言ではない田舎の山奥に生息する人間にとっては、しょせんエアコンなんてシティ派なのだ。温室育ちのお坊ちゃん家電でしかないのだ。

本当に寒いとき、そこにあるのは寒さではない。冷たさだ。突き刺さるような冷たさなのだ。それは我々の体から芯から冷やし、生まれて来たことを後悔するほどの絶望感を与えるのだ。

エアコンは確かに温かい。しかしその温かい風は、部屋を温めるだけでしかないのである。それではダメなのだ。絶望から救われるには、もっと別種の温かさが必要なのだ。

その点、コタツはどうだ。エアコンと違って、コタツに部屋全体を温める力はない。しかしそれでも、遠赤外線とかいう見えない光のパワーで、我々の体を芯から温めてくれるではないか。一度入ったら最後、我々はもう二度と、コタツから出ることはできない。その吸引力たるや、ダイソンの比ではないのだ。いつまでも入っていたいと思わせる、体だけでなく、心も捉えて離さないその魔力。コタツは悪魔だ。悪魔家電だ。温室育ちのお坊ちゃんごときでは、悪魔には勝てんのだ。

ストーブも忘れてはいけない。ストーブの近くにいると、部屋の気温よりも何よりも、まず体が温まるのだ。一度近づいたら最後、我々はもう二度と、ストーブから離れることはできない。ストーブの熱がダイレクトに届く範囲は、ブラックホールにおける事象の地平面に等しい。そのシュヴァルツシルト半径の内側に入ってしまったら、抜け出すことはできなくなってしまうのだ。ストーブはブラックホールだ。ブラックホール家電だ。温室育ちのお坊ちゃんが、ブラックホールなんて相手にできるわけがない。

くくく……やはりエアコンは、暖房四天王の中でも最弱の存在……。



真面目な話、僕は寒いのわりと平気なんですけど、でもすっごい冷え性なんです。最近は運動不足が祟って血行が悪くなっているせいなのか、足とかほんっとーに冷たいんですよ。マジで爪先とか、スーパーの生鮮コーナーに置いてある魚のように冷たいんですよ。死んだ魚のような足なんですよ、まさに。

やけどした時、耳たぶを触って冷やすという古き良き対処法がありますが、今ならもれなく、耳たぶの代わりに僕の足を触った方が効果ありますよ。ビリケンさんのようなご利益はないけどね。

だからね、エアコンでも確かに部屋は温まるんですけど、でもそれだと、手の先とか足の先とかを覆っている、死んだ魚のような冷たさはなかなか解消されないんですね。特に足の先が。エアコンって、基本的に高い位置にありますからね。

そんな時、ふと思うわけです。やっぱり冬は、コタツかストーブが良いなぁ……って。

だからって、エアコンが役立たずの無能なインポ野郎だなんて思ってはいないですよ? エアコンがどれだけ便利なのかは、僕が誰よりも……とは言わないまでも、日本でも四百番目くらいには理解しているつもりです。僕だってすごいお世話になってます。夏はもう、エアコンなしでは生きられない体ですからね。

でも、それでもやっぱり、こと暖房となると、コタツには勝てない。ストーブにも勝てない。

だって、コタツやストーブだと、冷えきった足も温かくなるんだもの。死んだ魚が生き返るレベルだもの。

雪国の冬にエアコンは似合わんのです。偉い人にはそれが分からんのですよ。ストーブの上にやかんを置いて、お湯を沸かしながら暖を取る。それが雪国の冬景色なのです。



そもそも、例えば今、部屋の温度がちょうど0度だったとすると、エアコンの設定温度を20度にしたところで、実際に部屋全体の温度を20度も上げるなんて、どだい無理な話なのよ。15度を20度に上げるってんならともかくさ。

仮に部屋の大きさが六畳だったとすると、面積がだいたい10m^2(平方メートル)くらいだから、天井までの高さが2.5mだった場合、部屋の体積はおよそ25m^3(立方メートル)。つまり25m^3の空気を温めるのに必要な熱量を算出すれば、どれだけ膨大な時間が必要になるか分かるわけさ。そうなのか?

1m^3の空気の温度を1度上げるのに必要な熱量は、空気の密度×比熱で求められる。書くのめんどいから単位は省略するけど、空気ってのは密度が約1.2で比熱が約0.24らしいので、必要な熱量は、1.2×0.24で、だいたい0.3kcalくらいになる。つまり25m^3の空気の温度を20度上げるのには、0.3×25×20で、150kcalが必要なことになる……のか? そうなのか?

六畳の部屋の場合だと、暖房能力が2.5kWくらいのエアコンが多く使われると思うので、そいつで150kcalの熱量を出すのに掛かる時間を計算すると……えーと、どれくらいだ? 計算が難しくて何か俺の方が熱出て来たわ。

熱量ってのはワット×時間で表される。1Wのパワーで1秒間仕事をすると、1J(ジュール)という熱量が発生する。1Jは約0.24calだから、2.5kWの出力で1秒間に得られる熱量は、0.24×2.5×1000で、600cal……0.6kcalになる。ここから150kcalを得るのに必要な時間は、0.6:1=150:xで求められるから……x=250か。

ほーらね。エアコンをガンガンにつけたところで、部屋の温度を0度から20度に上げるには、250秒という途方もない時間が……って、たったの250秒!? 250年じゃなくて!?

なん……だと……? たった4分ほどで20度も上昇するというのか!? 嘘だろ!? 全然無理そうじゃねーじゃん! サウナかよ!? サウナじゃねーよ!

どっかで計算を間違えたかな? 考え方は合ってるように思うんだけど……もう少し複雑な計算が必要だったか?

ま、まあ……あれだ。部屋の熱は逃げてっちゃう部分もあるわけだし、室内には空気以外のものもいっぱいあるわけだし、そもそもエアコンってのは外の気温が低いとパワーが落ちるものだし、何か他にもいろいろな要因があったりなかったりするわけだから、仮にこの計算が合っていたとしても、さすがに4分で20度上昇ってことはないかもですが、でもとりあえず、膨大な時間は必要としなさそうな感じがしますね。パワーが落ちて出力が半分だったとしても、計算上は500秒になるだけだものね。

まったく誰だよ。無理な話だとかぶっこいた不届きものはよぉ、ああん? 俺だよ俺、そこの俺。エアコン先輩ディスってんじゃねーよ。

すいませんでした、エアコン先輩。やっぱり先輩は四天王最弱じゃないっす。



さーて、何か思ってたのとだいぶ違う方向に着地したけど、どうする? こっからどうやってオチつける? 今からFacebookやTwitterで、オチを募集するか? いや、それじゃあ間に合わねえ。募集した段階でこの記事は公開されてしまう。つまり募集しようと思った時には、すでに終わってなきゃならないんだ。そんなプロシュート兄貴のような真似はできん。

ま、今日のところはどうしようもないね。田舎でひっそりと暮らしている俺みたいな芋くさいプログラマー……イモグラマーごときが、シティ派の方々に受け入れてもらえる小洒落たオチをつけるなんて、どだい無理な話なのよ。笑わせると笑われるは、似て非なるもんなのよ。

とりあえず今日のところは、難しい計算のせいで熱が出たから、それで体は温まったんじゃなかろうかってことで、お開きにさせてもらいますわ。
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