色褪せている記憶は衰退の証

この記事はだいぶ前に書かれたものなので情報が古いかもしれません
昔取った杵柄っていうことわざがありますよね。若い頃に身に着けた能力はしばらくぶりに使っても体が覚えているから衰えることなく発揮できるよ、みたいな意味です。

その言葉を信じると、子どもの頃にやり込んだものって、大人になってからも相応の実力が発揮できることになりますよね。



僕は小さい頃からぼっちの才能があったのか、友達と遊んだ記憶も結構残ってはいるつもりなんですが、それと同じくらい、家で一人で遊んでいた記憶も結構あるんですよ。

僕は兄弟姉妹がいませんから、友達と遊ばないと、必然的に一人で遊ぶことになってしまうんですな。だから対戦ゲームなんかも一人でやるしかない。

これがテレビゲームだったらコンピュータという対戦相手がいますけど、そうじゃないボードゲームの類(将棋とかオセロとか)は、対戦相手も自分でやるしかないわけで、実際によくやっていたんですよ。一人で二人対戦を。

中でも、当時の僕は五目並べが大好きでして、とにかく一時期は無我夢中で五目並べをやっておりました。一人で二人対戦を。

どれくらい夢中だったかって言うと、トーナメント組んでやっちゃうくらい。一人で二人t

しかも団体戦ね。一人で

つまり五対五のチーム戦でトーナメントやってたんですよ。さらにトーナメントの内容も先に三勝したら勝ちっていうのじゃなくて、どっちかが五人勝ち抜くまでやるっていうルールだった。一人

ってことは、例えば四チームでトーナメントをやったら、三位決定戦も含めると全部で四試合あるわけで、合計で二十戦やることになるわけですね。ひt

実際のところはもう少し大きいトーナメントで、確か三十二チームとかでやってたから、百五十戦くらいはやってたわけなんですけど、よくもまあ、飽きずにやってたもんですね。子供の真っ直ぐさってのは怖いですね。

来る日も来る日もそんなことをやっていたから、まあたぶんなんですけど、当時の僕は五目並べがそれなりに強かったんじゃないかと思うわけです。自分としか対戦したことないから、実際のところは分かんないけどね。でも毎日何十戦もやってたら、いやでも実力は上がって行くと思うんだよね。たとえ自分としか対戦してなかったとしても。常に本気で戦ってたし。



とまあ、それが小学校の三年生くらいの頃の話でして、だからもう二十年ほど前になりますね。二十年も経つとさすがに記憶の方も色褪せて来るね。

そんな自分の中での五目並べブームも一時的なものだったので、ブームが去ってからはときどき思い出したようにしかやらなくなってしまい、中学を卒業する頃には全くやらなくなってしまいました。

でもつい先日、ネットを適当に巡回してたら、何かFLASHで作ったミニゲームをいくつか公開しているサイトに行き当たりまして、その中に五目並べがあったんですね。

当時の記憶を懐かしんで……というわけではないですが、こんなところで再会したのも何かの縁だからってことで、久しぶりにやってみようと思ったんですよ。

別に今に始まったことじゃないですけど、便利な世の中になりましたよね。僕が小学生の頃はパソコンなんて全然普及してなかったから、コンピュータと対戦なんてことを気軽にはできませんでしたが、それが今じゃどうだい。五目並べくらいなら、ちょっとFLASHなりプログラミングの知識を覚えれば、中学生でも作れるかもしれない。作れるのかな? どうなんだろ。まあいいや。

コンピュータのレベルが初級と上級とあったので、とりあえず初級で肩ならしをしてやろうと思いましてね。もう十数年五目並べをやっていないとは言え、そこは昔取った杵柄ってやつで、初級なら倒せんだろって思ってたんですが……

想像以上にあっさり負けやがった……俺。

いや、初級と上級っていうのはただ二段階に分けているってだけで、もしかしたら上級ってのは世界チャンプクラスで初級ってのは世界大会があればベスト4には残るくらいのレベルだったのかもしれないけど、それにしてもあんなにあっさりやられるとは思わなかったわ。

昔あれだけやり込んだのに、やっぱり何年もやらないと衰えるものなんですよ……昔取った杵柄なんて、しょせんは過去の栄光にすぎないのですよ。偉い人にはそれが分からんのですよ。



まあ、昔取った杵柄って言葉が正しいと仮定した場合、僕の能力が衰えたんじゃなくて、昔からこの程度の実力しかなかったっていう可能性も、考えられますけどね。当時、もし自分以外の人と対戦していたら、ボコボコにされていたかもしれないっていう可能性も、考えられますけどね。

もしそうだったら、ちょっと哀しいね。

とりあえず、あのコンピュータの上級を倒して、俺は今も昔も弱いんじゃないってことを、証明して来たいと思います。お前は強かったよって過去の自分に言ってやりたいと思います。

やっぱり思い出は、美化しておきたいからね。
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